京都市下京区にある浄土真宗本願寺派の本山・西本願寺では、親鸞聖人の御誕生850年と浄土真宗の開宗800年をお祝いする「慶讃法要(きょうさんほうよう)」が営まれています。
私は先日、大変ありがたいご縁をいただき、50年に1度というこの貴重な法要へ参拝させていただきました。善了寺の住職様、そして坊守様のご厚意で、門徒さんと共に参拝する機会を得たのです。
今回の記事では、法要の様子と、そこから得た気づきを綴らせていただききたいと思います。親鸞聖人が、そして多くの住職や門徒の皆さんが、800年の歴史の中で結んでくださったご縁をよろこびながら、私が受け取った浄土真宗の智慧をそっとお伝えできれば幸いです。
親鸞聖人を讃える「慶讃法要」の様子
慶讃法要は、西本願寺にある国宝・御影堂(ごえいどう)で営まれました。
今回私は、ありがたいご縁により、普段決して立ち入ることのできない内陣の南側の部屋へとお招きいただきました。太い柱の金箔や極彩色の装飾は、先の修復工事によって美しく復元されており、まさに創建当時の輝きを蘇らせたよう。そのほか、金箔のふすまに蓮を描いた「蓮池図(れんちず)」、格式の高い伝統的な折上格天井など、洗練された荘厳さが漂う空間に息を呑むほどの感動を覚えました。
法要が営まれている間、御影堂の照明は消され、あたりはわずかに自然光が差し込むだけのうす暗い空間になります。その中で灯明がほのかに灯る内陣だけが浮かび上がり、これから神聖な時間が始まるんだ、と思わず背筋が伸びました。
そして、「正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)」という親鸞聖人の教えを伝える詩編を、参拝された皆さんと共にとなえます。堂内に響き渡る僧侶・門徒さんたちの声。その数は1,000名をゆうに超えます。皆さんと一斉にとなえる厳かな時間は、心に深く刻まれるものでした。
親鸞聖人の教えの普遍性
法要の前後には法話をお聞きする機会もありました。その中で、日常生活の中で起こる些細な勘違いのお話があり、私はそれが強く印象に残っています。
親戚から荷物が届き、段ボール箱には「メロン」と書かれてある。しかしその箱を開けると、中にはたくさんの「芋」が入っていてがっかりした。そんなユーモア溢れる法話でした。
好意で野菜を届けてくれた親戚に対して、思わず「ややこしいことをするなぁ」と感じてしまった自分が恥ずかしい、というのがこのエピソードの顛末ですが、そこから転じて語られる言葉が非常に印象的でした。
親鸞聖人の教えでは、自分の愚かさに気づいていない状態を暗闇に例えています。この暗闇の中で、私たちは現実を正しく見ることができず、あれも違うし、これも違うというように悩みながら過ごしています。しかし、仏様の教えが一筋の光となり私たちに照らし出されると、身の回りのものが次第に見えてきて、理解しやすくなる。つまり、自分の足りない部分に気付くことができれば、迷うことなく、大切なものがはっきりと見えるようになる、という考えです。
このような考え方は、どんな立場や背景を持つ人にも共感できる普遍的な内容だと感じました。
「慶讃法要」からの学びと気づき
今回の法要を通じて、私は、人々の心の安息を願う浄土真宗のみ教えにふれることができました。様々な物事に対して自分がどのように反応するか、その反応は正しいものか、自分の足りない部分に気づいているか、謙虚に問い続けたい。こうした視座に立つことで、日常生活においても心が豊かになり、人間関係や物事への取り組み方にも変化が現れるような気がいたします。
おわりに
このような記念の法要に参加できる経験は、今後の人生で二度と訪れないかもしれません。だからこそ、この貴重な経験を通して感じた自分の気づきを忘れずにいたいなと、そう強く感じたのでした。
最後に、この記事をお読みいただいた皆様に感謝の言葉を述べたいと思います。ありがたいご縁を結んでくださり、本当にありがとうございます。親鸞聖人の御誕生と立教開宗に感謝する、この慶讃法要を通じて得た学びや気づきを皆様と共有でき、大変嬉しく思います。
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▼「慶讃法要」公式サイトはこちら▼
親鸞聖人御誕生850年立教開宗800年慶讃法要(西本願寺)
▼慶讃法要の日程▼
第1期 3月29日(水) ~ 4月3日(月)
第2期 4月10日(月) ~ 4月15日(土)
第3期 4月24日(月) ~ 4月29日(土)
第4期 5月6日(土) ~ 5月11日(木)
第5期 5月16日(火) ~ 5月21日(日)
▼慶讃法要の様子はYouTubeでもリアルタイムで配信されます。詳しくはこちら▼
慶讃法要インターネット中継視聴ページ | お知らせ
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ライター:間宮まさかず
京都市在住。妻、7歳の娘、4歳の息子と暮らしています。
子育てにまつわるエピソードや、京都の町の魅力などを綴っていきたいと思っています。