こよりどうカフェのオープンに至るご縁

昨年12月に善了寺様境内にオープンした「こよりどうカフェ」(運営:認定NPO法人こまちぷらす)ですが、今回のオープンに至ったご縁は10年前に遡ります。こまちぷらすとしての初めての常設の居場所「こまちカフェ」を、戸塚駅東口で運営していた際、スタッフのこどもたちの遊び場として善了寺様を使わせていただいていました。2013年〜現店舗(戸塚駅西口)に移転をする2014年5月まで1年間、様々な形でお世話になっていました。

赤ちゃんの泣き声をBGMに

当時のこまちカフェにて、赤ちゃん連れ大歓迎の気持ちを込めて私たちがよく謳っていたフレーズが「赤ちゃんの泣き声がBGMになるカフェ」でした。「ここでは赤ちゃんが泣いても大丈夫!」「安心して親子で出かけておいで♪」というメッセージを込めて、カフェの紹介等にこのフレーズを添えていました。

あれから10年たち、「こまちカフェ」でも「こよりどうカフェ」でも、連日たくさんの赤ちゃんが元気に泣いています。新生児ならではの「おぎゃー」という泣き声から、少し月齢を重ねてきた感情のこもった泣き声まで。お腹が空いたり、眠かったり、ママを探したり、頭をゴツンして痛かったり…泣く理由は本当に様々。赤ちゃんひとりひとりの個性と泣く理由の数だけ、実にいろんな泣き声に出会えます。

スタッフには子育て経験者も少なくないのですが、我が子を育てていた時には「早く泣きやんでーー」と必死になって焦っていたはずのギャンギャンとした大泣きも、不思議なことに今こうしてカフェで出会えると、思いっきり泣いている姿が可愛くて、嬉しくなってしまう位です。

赤ちゃんにとって泣くことはその子なりの必死の訴えであり、昼夜お世話をしているママパパにとっては、泣き続ける我が子と一緒にいることは本当に疲れることで、悩んでいる方も少なくないと思います。また、カフェでは静かに過ごしたい方、大きな音やお子さんの声が苦手という方も、もちろんいらっしゃるかと思います。だからこそ、そんな泣き声を「かわいいね^ ^」「元気だね!」と笑って歓迎する大人たちも、まちには沢山いることを、少しでも知っていただけたらと思っています。

子どもの育ちをみんなで楽しめるまちに…

赤ちゃん連れでの外出は周りに気を遣うことが多いからこそ、そして泣く側も泣かれる側も当事者だけではしんどくなってしまうからこそ、私たちは、その気持ちに寄り添いつつも、大泣きですら一緒に笑えるような場所でありたいと思っています。

こよりどうカフェは、赤ちゃん連れからご年配の方まで本当に様々な世代の方にご利用いただくのですが、店内で赤ちゃんが元気に泣いていたり、ハイハイやよちよち歩きで動き回っていたり、抱っこされている様子に、いろんなお客様の表情が和らいでいる姿も多く目にします。

そして、泣いている赤ちゃんをスタッフが抱っこしていると、時に「どうしたのー?」と他のお客様が声をかけてくださり、一緒にあやしてくださいます。そして気付けば、泣いている赤ちゃんを真ん中にいろんな世代の大人達が笑顔になっています。

こまちカフェの10年間と、こよりどうカフェでの半年間で、改めて気付いたことは、「赤ちゃんの泣き声はBGMであり、そして時に自然と周りに人を引き寄せる力がある」ということでした。今日はどんな子ども達が来て、どんな姿を見せてくれるかな…そんなことを地域のいろんな方と一緒に楽しめるカフェでありながら、子どもたちの育ちを地域のみんなで見守ることのできるまちに近づいていけたらと思っています。

(寄稿者:こよりどうカフェマネージャー 大塚)