春夏秋冬の4つの季節を、それぞれさらに6つに分けた二十四節気。江戸時代の人々はこの節気を意識し、季節の移り変わりを楽しみながら生活してきました。今回は、そのなかから秋の6節気についてご紹介しましょう。

まずは、秋の6つの節気を知ろう

秋の節気とは「立秋」「処暑」「白露」「秋分」「寒露」「霜降」の6つ。西洋の歴でいうと、8月7日から11月6日頃に当たります。月の動きを基準にしているため、現代でいうところの「秋」とは少しずれています。それぞれ、どのような季節を表しているのでしょうか。

立秋(りっしゅう)

日中はまだまだ残暑は厳しいものの、朝夕には秋の気配が感じられる時期。この頃になると、お盆を前に日本各地で夏祭りが催されるようになります。大暑から数えて15日目頃、8月7日頃を指します。

処暑(しょしょ)

8月23日頃を指す節気。暑さがおさまるという意味で、しだいに秋の気配が濃くなり、涼しさを感じ始める時期を指します。夏用の布団や家具を片付ける目安にもされていたと言われています。関西の夏の終わりを告げる地蔵盆が開催されるのもこの頃です。

白露(はくろ)

白露とは、草花につく朝露のこと。日一日と夜の冷え込みが進み、本格的に秋を感じるようになります。太陽が離れることにより、空が高くなります。野山には、ススキの穂など秋らしい草花が見られるようにも。9月8日頃を指します。

秋分(しゅうぶん)

昼と夜の長さがほぼ等しくなる日です。この日を中日として前後3日を合わせた7日間を「彼岸」といい、お墓参りに出かけるなど、古来より祖先をしのぶ日とされてきました。また、秋分から最も近い戌の日を「秋社」といい、秋の収穫を祝い、土地の神様(産土神)に感謝する意味を込めて各地でお祭りが催されます。暦の上では9月23日頃を指します。

寒露(かんろ)

寒露とは、草木に降りる冷たい露を指す言葉で、10月8日頃を指す節気です。この頃になると各地で稲刈りも終わり、木々もすっかり紅葉して秋らしくなります。長雨が終わり大気の状態も安定するため、すっきりと澄んだ秋晴れの日が増えてきます。

霜降(そうこう)

言葉の通り、霜が降りはじめる時期のことをいいます。朝晩の冷え込みが厳しくなるため、暖房器具を準備したりコートを出したりして、冬支度を始める時期とされています。暦の上では10月23日頃を指し、冬の訪れももうすぐです。

俳句に見る、江戸時代の秋の風流

江戸時代の人々にとって節気とは、お祭りなどの年中行事に関わるだけでなく、季節のうつろいを感じるためにも欠かせないものでした。こうした自然の小さな変化にも風流を感じ、楽しみながら生活する様子は、多くの歌人が残した俳句のなかにも表れています。

行水の捨てどころなし虫の声

江戸時代中期に活躍した俳諧師、上島鬼貫によって読まれた俳句です。行水に使った水を捨てようとあたりを見回してみても、いたるところで虫が鳴いているため捨てる場所がない、というもの。秋の訪れを告げる虫の声に耳を傾け、楽しんでいた人々の様子がうかがえます。

名月や池をめぐりて夜もすがら

こちらは松尾芭蕉による句です。池に映る秋の美しい月影を眺めながら歩いているうちに、ついつい夜が更けてしまったというもの。秋の十五夜という言葉にも表されるように、美しい名月を楽しむ人々の姿が目に浮かぶようです。

日々の生活を豊かにする節気

二十四節気とはただ1年を当分に区切ったものではなく、自然の様子や季節の行事を表したもの。それぞれの節気について知ることは、自分のまわりにある自然の様子に風流を感じ、生活を豊かにすることにつながります。あなたも季節の小さな変化を感じる生活を、始めてみてはいかがでしょうか。

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