私は野菜の直売所が大好きでよく足を運びます。地元の直売所はもちろんのこと、旅先でも必ずと言っていいほど、道の駅や農協がやっている直売所に立ち寄ります。その地域でしか出回らないであろう珍しい野菜やきのこに出会った時の喜びはひとしおです。採れたての野菜たちが並んでいるのを見るだけで嬉しくなります。

さて今回は、食欲の秋に日本の農家さんを応援したい!日本の食料事情について考えてみます。

 

日本の食料自給率

2022年度の日本の食料自給率が先月農林水産省より発表されました。カロリーベースの概算値で38%。先進国の中でも最低水準です。食の欧米化、農業従事者の高齢化や耕作放棄地の増加等、原因はいろいろありますが、自給率は中長期的に見て下がる傾向にあります。

 

フードマイレージ

日本の食料事情を浮き彫りにする、もうひとつの指標があります。フードマイレージといいます。聞いたことがあるでしょうか。

輸入量(トン)×輸送距離(キロメートル)
で表されます。

農林水産省が、日本の食料自給率の低減傾向と環境負荷の問題を結びつけて研究報告する際に使われました。そもそもの概念は、1999年にイギリスで提唱されたフードマイルズ運動に起因しています。

“Food Miles”とは、消費する食料の量に食卓から農場(生産地)までの距離を掛け合わせた指標であり、これを意識して、なるべく地域内で生産された食料を消費することを通じて環境負荷を低減させていこうというのが、この市民運動の趣旨である。

 

例えば、米国産トウモロコシと北海道産トウモロコシでは、東京にたどり着くまでに何倍もの距離の差があります。安価に輸入されてくる外国産の食品は、お財布には優しいように見えます。けれど、船や鉄道やトラックを乗り継いで、はるばる日本の消費者へたどり着いたということは、ものすごい量の化石燃料を消費して輸送されているのです。当然、地球環境には優しくありません。

日本は島国なので陸続きの欧州等と比べると、どうしても輸送距離が長くなります。食料を輸入に頼れば頼るほど、日本のフードマイレージも上がらざるを得ません。単に日本の食料輸入量が多いということだけではなく、米国や南米など遠方からの食料供給に頼っているために、フードマイレージが上がっているのです。

なお、フードマイレージは非常に単純化された指標なので、考慮されていない変数もあります。例えば輸送手段が飛行機なのか船舶なのか、旬の露地栽培か電気を大量に使うハウス栽培か。環境負荷を厳密に考えたいときは、カーボンフットプリント等別の取組みがありますので、そういうものを参考にしてください。

 

私たちにできること

ここ最近のパンデミックや戦争が、日本に輸入される食品の価格に影響しているのを、実感している人は多いと思います。環境負荷という点のみならず、食料の安定供給という点においても、海を隔てた遠い国に食料の大半を依存するというのは、望ましくありません。

日本の食料自給率をあげよう、フードマイレージを低くしようと考えるとき、私たち消費者にできることはいくつかあります。

1.国産の食品を選ぶこと
日本のメーカーが作っていても原材料をみると原産地が外国ということはよくあるので、材料の表示も確認してみてください。

2.地元産の食材を選ぶこと
最近ではスーパーでも地元農家さんのお野菜が並んでいることがあります。日本の農家さんを応援しましょう。私のお勧めは地元野菜がならぶ直売所です。畑の横にある無人販売所で旬の採れたて野菜!このおすそ分け感がたまりません。

3.自分で種を蒔いてみること
家庭菜園に挑戦してみると、農家さんが収穫までいかに手間暇をかけているかを実感します。私はベランダのプランタ栽培に何度も失敗しています…。農家さんが育ててくれたお野菜を有難く頂きたいと思います。

 

日本の食料自給率 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html

「食料の総輸入量・距離(フード・マイレージ)とその環境に及ぼす負荷に関する考察」 農林水産政策研究 第5号 中田哲也 2003

 

寄稿者 ほりえりえこ
湘南在住。小学生の娘と暮らしてます。今を大切に。日々のなぜ、なに、どうしてを大切に。心が動いたこと、子どもに伝えたいことを書いています。