現代の子どもたちは、豊富な種類のおもちゃ、テレビ番組やスマホゲームなど、多くの「エンターテイメント」に囲まれて生活しています。こういった子どもたちの中には「遊ぶ場所がないから」「遊び方がわからないから」という理由で、昔ながらの体を動かしたり、知恵を生かしたりした遊びを体験したことがない子どももたくさんいます。しかし現代に失われつつある昔ながらの遊びは、子どもの「こころと体の成長」を促すことができる大切なものです。体を動かす楽しさを知るだけでなく、遊びを考え出す創造性や仲間と決めたルールを守る協調性も学ぶことができます。今回は、代表的な昔ながらの遊びを例に、その重要性を解説します。

外遊びの代表「鬼ごっこ」は、全国でルールが違う!?

誰もが子どもの頃に一度は遊んでいる「鬼ごっこ」は、外遊びの代表格といえるでしょう。用具も難しいルールもないこの遊びは、昔から人気のある遊びのひとつで、江戸時代には既に、庶民の間に定着していたとされています。

基本的な遊び方は、じゃんけんで「鬼」を決めて、鬼以外の「子」たちは逃げる。鬼が子をつかまえると、今度はつかまった子が鬼になるという、その繰り返しのみです。小さな子でもルールが分かりやすく、男女や年齢を問わずに遊べるので、仲間が作りやすい遊びです。人数制限もないので、少人数から大人数まで一緒に遊べる楽しさもあります。思い切り走り回れるので運動効果が高いというのも、魅力的ですよね。

そんな一見シンプルに見える鬼ごっこですが、全国各地にさまざまなバリエーションがあります。

  • 鬼が隠れた子を探す「隠れ鬼」
  • 鬼が行った色を触る「色鬼」
  • うずまき迷路の中でやる「渦巻き鬼」
  • 子が逃げられる地帯を決めた「鬼さんこちら」

「追いかけて捕まえる」というシンプルな遊びを、全国各地の子どもたちが、より面白くするために自分たちで発展させていったことが分かりますね。

現在では地域振興や文化振興を目的に、地域全体で鬼ごっこをする所や、スポーツの一環として行う「スポーツ鬼ごっこ」と呼ばれるものも存在しています。地域、県での選抜を経て、全国大会まで開催されており、子どもたちが楽しめる「遊び」の代表として、鬼ごっこは今、熱い遊びとして注目されているのです。

時代とともに移り変わる、女の子の定番遊び「ままごと」

女の子が大好きな遊びとして思い浮かべるのが、「人形遊び」や「ままごと」といった空想遊びです。子どもの個性が表れ、家庭それぞれの日常生活の様子が垣間見えることもあるので、周りで見ていても大変微笑ましい遊びですよね。

この「ままごと」ですが、実はその起源は古く、なんと古墳時代の発見物の中にも、ままごと道具らしきものがあるのだそうです。また、平安時代について書かれた『紫式部日記』によると、その時代には「雛あそび」の道具を用いた、ままごとのような遊びがあったこともわかっています。

ままごとは鬼ごっこ同様、江戸時代にはすでに庶民の間に定着した遊びとなっていました。この時代のままごとは、お椀やお箸、包丁やお鍋など身近な台所道具を使って実生活を模倣することで、女の子に家事を学ばせるという家庭教育の役割を果たしていたそうです。現代の子どもたちのままごとも、水道や冷蔵庫、オーブンレンジなど、時代に合わせた新しい道具を取り入れて進化を遂げていますよね。

まとめ

このように、鬼ごっこやままごとなど、昔ながらの遊びは、子どもたちの「体力」や「想像力」を豊かにし、その成長に重要な役目を果たしています。いつもスマホやテレビゲームで遊んでいる人も、自分の子ども時代を思い出し、昔ながらの遊びで子どもと遊んでみるのはどうでしょう。懐かしい気持ちと共に、子どもの意外な長所や伸ばしてあげたい感性に出会えるかもしれませんよ。

参考: