週2回、一人で養護学校に通うのに不安のあるお子さんの朝の通学のお手伝いをしています。朝8時から8時半までの30分間のプチボランティアです。

少しでも何かのお役に立てればと思って始めたプチボランティアでしたが、逆に、このお子さんから、ピュアな歩き方を教えてもらっています。彼はよく空を見上げます。それはまるで、空の色や風のにおいを感じているようです。雨の日にはその滴に触れて水の冷たさを感じ、それから、道端の草に触れ、身長より大きな木々を見上げ、吐く息の白さを楽しみ、鼻歌を歌います。

それにくらべて、私の日ごろの歩行は、目的地に行くためにただ歩く、ただ足を交互に前に出すという行為のようになってしまっていたことに、彼が気づかせてくれました。空や風や小鳥のさえずりや草や木の葉は、本当はいつもそばにあったのに、見ることも感じることもなく、目的地で用事を済ませるためにできるだけ近道をして早く歩いて行く。

彼と歩く時、学校に行くという目的のためにだけ歩いているのではなく、今、歩いていること自体を感じることのできる純粋な心に触れるのです。年末年始の忙しい(漢字ですら心を無くすとかきますね。)この時期、地面やスマホの画面じゃなくて空を見上げて歩くと、無くした心を取り戻し、心が豊かになるよと、教えてくれるようです。

横浜 善了寺 坊守