3月27日は、さくらの日とされています。「咲く(3×9)=27日」の語呂合わせから、また、七十二候の第十一候「桜始開:さくらはじめてひらく(3月25日~29日頃)」の時季であることから、制定されました。
毎年、桜前線がニュースで話題になるほど、私たちはさくらの開花を心待ちにしています。
さくらは園芸品種も多く、その品種はなんと100種類以上あるそうです。そのうち、日本に自生するさくらは9種と言われています。花が濃いピンクだったり、緑がかっていたり、秋、冬に咲く品種もあります。しかしなんと言っても、私たちが一番多く目にするのはソメイヨシノです。
ソメイヨシノは江戸時代末期に江戸駒込の染井村(現在の豊島区駒込あたり)で栽培が始まりました。葉が出る前に花が咲く美しさと華やかさが、人々の心を掴んだのでしょう。明治時代に入ると、各地の自治体が植えるようになります。
ソメイヨシノが一斉に咲くのは理由があります。実はソメイヨシノは自家受粉ができず、接ぎ木や挿し木で増えてきたという経緯があります。つまり、すべてが大元の木と同じ遺伝子をもっています。そのため、気温等の環境条件が整うと、同じ地域の木が同じタイミングで開花するのです。だからこそ南から北へと桜前線が予測できるのです。
満開のさくらを楽しめるのは開花宣言から1週間前後です。一年365日のうち、その1週間を楽しむために、さくらの木をこれほどたくさん植えるってすごいことだと思うのです。
沿道や川沿いのさくらは、自然に生えているわけではありません。さくらを植えてくれた先人たちがいるのです。満開のさくらをみると、あちらこちらで誰もが楽しめるよう、さくらの木を植えてくれた方々に感謝の気持ちが湧いてきます。こういう時、私は日本人の感性が大好きだなと思えます。
参考文献
「日本の365日を愛おしむ~毎日が輝く生活暦~」 本間美加子 東邦出版 2019