今年の夏は、新型コロナウイルス拡大防止のため、故郷に帰れず切ない思いをする方が大勢いたと思います。私も故郷の両親や祖父母に、都会の子どもや孫から感染することを防ぐため自粛せざるを得なかったのです。このままでは、お正月も帰れるかどうか疑わしいものです。

ところが、我が家の場合、コロナ禍で心配しているのは、両親の方が勝っていました。「新鮮な魚を食べさせてあげたい」と言う思いで、自らの手で釣った新鮮な天然の鯛を、クール便で送ってくれたのです。

あまり、外出もできず、不自由な生活をしているだろうと、思ってくれたのでしょう。コロナ禍が蔓延している都会で暮らす子どもを心配する親心。倍返しも恩返しもできそうにありません。クール便のなかには、魚に混じって、母が作った手作りのマスクもビニールに包まれて入っていました。

コロナ禍だからこそ、気づかされるご恩に感謝して。

 

戸塚・善了寺 坊守