コロナ禍の中、こころからお見舞い申し上げます。

先行きの見えない時代だからこそ、コトバの大切さを思わずにはおられません。そんな時代の中で素敵な本を紹介して頂きました。『知ろうとすること。』(早野龍五・糸井重里 著 新潮文庫 刊)です。

この本は、福島第一原発の事故の後、情報が錯綜する中で、ただ事実を分析し、発信し続けた物理学者・早野龍五先生の誠実な計測と分析を重ねる姿勢を尊敬し、自らの指針としてきた糸井重里さんの対談がまとめられています。

「もうひとつのあとがき こころのありよう、というか「姿勢」のこと」という糸井さんが執筆されている文章の中で、2011年の糸井さんのツイートが紹介されています。

2011年のある時、ぼくはこんなツイートをしました。
〈ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かしてないほう」を選びます。「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」を選びます。そして、「よりユーモアのあるほう」を選びます。〉

『知ろうとすること。』180頁

暮らしの中で、様々な情報に振り回されていくただ中にあって、みなさんと共有したいコトバだと思いました。私たちの暮らしのあり方としても大事なことではないでしょうか。

三浦梅園という方が、「枯れ木に花咲くに驚くより、生木に花咲くに驚け」というコトバを残しておられます。

事実を事実として受けとめること。あたりまえの尊さを見失わせるのが、スキャンダラスなコトバであり、脅かしのコトバであり、正義を語るコトバであり、失礼なコトバであり、ユーモアを欠いたコトバなのではないでしょうか。

困難な時代だからこそ、コトバとの出会いを大切にした暮らしを営みたいと思います。