引き続き、田中優子さんの『グローバリゼーションの中の江戸』を読み進めていましたら(前回の記事はこちら)、田中先生が江戸の七不思議を挙げておられるのですが、その六番目に、北斎や広重の浮世絵はヨーロッパの絵画・芸術に大きな影響を与えたと言っておられ、その一人にゴッホを上げられています。

今、和服の着方はわからない大人はたくさんいるけど、洋服の着方は子供だって分かる。畳や障子や襖のないお宅もたくさんあるというくらい、開国後はひたすら欧米化していると思っていたました。

しかし、あの当時の日本の庶民文化が海外のアーティストへ影響を与えるという逆のパターンもあったことを思い出しました。なんだか「浮世絵すごい!」と日本の文化への誇りのようなものがふわっと沸いてきたので、ゴッホ経由で、今度、浮世絵の本探してみようと思ったりも。

田中優子さんは、この本の中で

15世紀末以降、日本はグローバルな変化のただ中にいます。つまり私たちは常に地球上で起こることをよく観察し、自らの身に起こる変化を冷静に受け止め、それを社会をよりよくするチャンスに変えていかねばならないのです。それが『グローバルに生きる』ということです

と書かれていました。

ゴッホも、その意味で「グローバルに生きていた」と言えるのかもしれません(彼の絵画が社会に評価されたのは、亡くなった後でしたが)。

今年は、去年とは違った春を迎えています。
「世界で起こっていること、自分の身に起こる変化を受け止め、よりよい社会へするためのアクションや考えへつなげていけるといいのかな」と、この本を読んで感じています。

文:横浜戸塚・善了寺 坊守(※)
※「ぼうもり」と読みます。住職の連れあいです。
鎌倉時代から大切にされてきた言葉なんですよ。
時々つぶやきますので、優しくお付き合いください。