この度、10月8日の落慶法要を迎えるにあたり、落慶を記念して、善了寺の建築に関するパンフレットを作成しています。先行して、住職の挨拶を掲載します。パンフレットは、設計監理をお願いした大岩剛一先生にご協力いただいて進めています。是非、楽しみにお待ちください。いずれ、茶堂にて誰でもダウンロードできるようにしたいと思います。

ご挨拶

この度、聞思堂建築から始まり、本堂・客殿・庫裏の新築を、親鸞聖人750回大遠忌記念事業として、平成23年度から平成28年度まで2期6年にわたり、東日本大震災復興支援事業とあわせて実施させていただきました。平成23年3月11日に東日本大震災が発生し、その惨状を受け止めながら、ご門徒の皆さまと共に、東日本大震災復興支援事業として聞思堂の建築が始まりました。平成24年10月8日には、聞思堂が無事落慶法要をお迎えすることができました。そして、平成25年度に本堂はじめ諸施設の耐震調査を行い、調査結果を受けて、耐震化を重点項目として平成26年度から第2期事業として本堂・客殿・庫裏の建築が始まりました。平成26年5月8日に御本尊様に聞思堂へおうつり頂き、平成28年5月8日に新しい御本堂にお還り頂きました。そして、この度、平成28年10月8日に落慶法要をお迎えさせていただきます。

「お迎えさせていただく」というのは、住職の実感です。新しい本堂で、毎朝ご門徒の方々と共にお正信偈を頂いております中で、お念仏が本堂に、そして、善了寺の境内に響き渡り、多くの往生してゆかれた先人方と共におつとめをしていると味わっております。その中で、この建築は、私たちの為に現れてくださったという思いが強くなってまいりました。

第16世成田恵門住職の願いを継承し、第17世成田了恵住職の多大なるご尽力よって、平成9年に第18世住職を継職させていただきました。継職から今年は20年目にあたります。多くの先人に出遇い、多くのお育てを頂きました。そして、私がこの世に生を受ける以前から、平等の慈悲のはたらきによって、今、南無阿弥陀仏にいだかれて、この度のご縁を頂きました。南無阿弥陀仏に出遇うことによって、決して見捨てることのない大慈悲の中で、凡夫の姿に気づかされ、自分自身の限界や、自己中心的な姿に気づかされていくばかりです。私たちは、平等の慈悲をよりどころに人間の限界を見つめていかなくてはならないと思います。だからこそ、迷った時、苦悩を抱えて一人ぼっちになった時、出遇いを恵まれることが、どれほど尊いことか。一緒に悩み、一緒に迷い、議論しあい、支えあって、みんなで、この日をお迎えすることができました。

お名前をあげればきりがありません。ご門徒のみなさんのご尽力はじめ、ご門徒の代表である善了寺役員会、そして、仏教女性会ふじの会、仏教壮年会のみなさん、また、事業の間、移転して頂いたお寺のデイサービス「還る家ともに」を支えてくれたスタッフのみなさん、そして、多くのボランティアのみなさん。特に、設計監理をおまかせした、大岩剛一氏、水野和子氏、そして、幹建設の内田社長、鏡棟梁、はじめ、多くの職人のみなさん。その出遇いを結んでくださった辻信一氏、さらに、建築の際ボランティアとして参加してくださったみなさん。こころから感謝申し上げます。人々のご尽力だけではありません。本堂を支える基礎になってくれているコンクリートも、コンクリートを固めるための型枠になってくれた杉板も、柱となってくださった木々も、石積みの石達も、本堂の外壁のヨシも、太陽の光を電気に変えるのテクノロジーも、客殿の天井の麻紙のクロスや他の建築を支えてくださる数多くのいのちが、尊厳をもって報恩感謝の建築となってくださいました。まさに、私たちの為に平等に慈悲にもよおされて、この世に現れてくださったのだと味わっております。

さあいよいよ、これからです。善了寺の報恩感謝の建築と共に、お互いに学びほぐし、学びなおしていきましょう。平等の慈悲の中で、愚かなわが身に気づかされる時、きっと多くの出遇いが恵まれてきます。現在だけではなく、過去にも未来にも広がる出遇いです。是非、善了寺にお参りください。待ちしております。

最後にともに歩んでくれた、坊守と子供たちにこころから感謝を表して  合掌