「ミート・フリー・マンデー(肉なしの月曜日)」というイベントをご存じですか? これは、イギリスのミュージシャンであるポール・マッカートニーらの呼びかけで2009年から始まった活動で、週に1度は肉を食べない日を設けようという提案です。今回は、着実に世界中に広がりを見せている「ミート・フリー・マンデー」についてご紹介します。

ベジタリアンのポールが始めた「ミート・フリー・マンデー」

ポール自身は自他ともに認めるベジタリアン。故人である妻のリンダ・マッカートニーや、世界的に有名なデザイナーとして活躍する娘のステラ・マッカートニーもしかりで、家族中がベジタリアンであることで知られています。そのポールが2009年6月中旬、“週に一回家庭で、月曜日だけ肉類を食べないようにしよう”という「ミート・フリー・マンデー Meat Free Monday(MFM)」のキャンペーンをロンドンで立ち上げ、世界のメディアから大きな注目を集めました。

肉を食べないことは個人ができる温暖化対策

「ミート・フリー・マンデー」を通して、ポールは人々になにも自分のようにベジタリアンになることを求めているのではありません。それでは、彼はどのような意図でこのイベントを始めたのでしょうか。

週に1回車を使わないより簡単?                      そもそもこのムーブメントは、気候変動に関する政府間パネル「Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)」の議長でノーベル平和賞受賞者のラジェンドラ・パチャウリ博士の提言から始まったもの。パチャウリ博士が2008年、肉は生産過程で二酸化炭素を大量に排出するだけでなく、輸送でもエネルギーを使用すると指摘。「肉の消費を減らすことは個人ができる温暖化対策の一つである」と提言したことに端を発しています。

こういった背景があり、ポールも「1週間に1回だけ、肉類を食べない日をつくるだけで、地球の環境問題緩和に貢献することができる。週1回車を使わないことより、はるかに簡単だろう?」と語っています。

今も世界35カ国以上で広がる運動

「ミート・フリー・マンデー」のキャンペーンは現在、6つの大陸の35カ国以上の国々で、23カ国語を使用し展開されています。メキシコでは「Lunes Sin Carne」、アメリカでは「ミートレス・マンデー」、スウェーデンでは「Köttfri Måndag」など、それぞれの国によって名称は異なりますが、月曜日に肉を食べないというコンセプトは同じです。

アメリカでは多くの自治体や、ハーバード大学など200校以上の学校で、この「肉なし月曜日」を採用。台湾でも「週一無肉日」として、公立小中学校の多くが月曜日は肉なし給食を実施するなど、社会的な運動として定着しつつあります。“週1日だけ”というすぐにでも始められそうな手軽さとシンプルさが人々に受け入れられ、世界にその輪が広がっています。

シンプルな生活から見えてくる豊かさ

無理せず、楽しみながら健康にも環境にも良いことを実践するミート・フリー・マンデー。みなさんも、地球に、そして自分にもやさしいお肉のない月曜日を過ごしてみませんか?

参考: