介護の現場は、小さいかもしれませんが、毎日「感動」があり、その積み重ねが「やりがい」につながる現場でもあります。その小さな「感動」のエピソードに光をあてることで、介護の素晴らしさを多くの人に伝える賞として、神奈川県では「かながわ感動介護大賞」を開催しています。

そして、この度、戸塚・善了寺の運営する「還る家ともに」のスタッフの小川さんが、「かながわ感動介護大賞・優秀賞」を受賞いたしました!

しかし、授賞式当日、肝心かなめの小川さんはナントぎっくり腰で、授賞式への出席は急遽キャンセルに……。

その為、表彰式では紹介のみで登壇できないはずだったのですが、首藤神奈川県副知事(写真、右から3番目の方です)の計らいで、記念写真を撮らせていただく事が出来ました(^^)

今回は、その小川さんの作品を掲載させていただきます。

~笑顔の循環~

宗教法人善了寺還る家ともに 看・介護職員 小川明子

私が介護の仕事に就いてから 3 年が経ちました。その間に、心が揺さぶられるような体験を何度もしました。うれしくて涙が出るような出来事ばかりではなく、ときには辛いことも、もちろんありました。私の至らなさのせいですが、おばあさんを怒らせてしまって怒鳴りつけられたり、混乱したおじいさんにポカリと叩かれたり。そんなときは、そうさせてしまった自分の未熟さや、受けた痛みを抱えて、ずーんと落ち込んでしまっていました。

そんな私が今もこの仕事を続けているのは、 A さんのお陰です。 デイサービスに通うA さんは深い認知症で、同じ空間にいても、きっと私たちとは時間も場所も違うところにいたのでしょう、話しかけてもたいてい噛み合わない応えが返ってくるばかりでした。でも、そういったときの A さんの表情といったら!ぱぁあああっと、満面の笑顔を向けてくれる A さんを見て私はいつも、ひまわりのようだな、と思っていました。落ち込んでいたとき、その笑顔にどれだけ励まされ、勇気づけられたことでしょう。

仏教用語に顔施という言葉があり、笑顔でひとと接することを施しとする、という意味ですが、 A さんのされていたことはまさにこれでした。笑顔を施された私が元気を得て、ほかのおばあさんやおじいさんに笑顔を還していく。 Aさんは、そんな素敵な循環を作ってくださったのです。
Aさんはこの春に施設に移られたため、なかなかあのビッグ・スマイルに会うことはできなくなりました。けれど、私はあの笑顔を折りにつけ思い出し、この仕事を続けて行きます。 A さん、ほんとうに、ありがとうございました。

お付き合いいただきありがとうございました。

なお、来年のかながわ感動介護大賞の作品募集はもう始まっていて、詳細は下記URLに載っています。身近な場面で見聞きした介護にまつわるエピソードでも大丈夫ですので、皆様も機会があればエントリーしては如何でしょうか。

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f420254/