先日、あるコンビニの軒下にツバメの巣を見つけました。雛が4羽いて、餌が運ばれてくるとピーピーと大きな口を開けていました。

それから3週間程経った頃です。巣は空になりました。ツバメの子どもたちは電線と空の間を行き来していました。飛ぶ練習でしょうか、それとも虫を追っていたのでしょうか。そんな光景を久しぶりに見た気がして、嬉しくなりました。

 

ツバメが身近な鳥ではなくなってきている?

「ツバメは絵でしか知らない。実物は見たことがない」

小学3年生になる我が家の娘は言いました。

 

ショックでした。私が子どもの頃、ツバメは身近な鳥でした。商店街や駅などにツバメの巣があったからです。毎年どこからともなくやって来たツバメが子育てするのを見ていました。スズメやハトの子育ては知らなくても、ツバメの雛が親鳥から虫をもらうのは見たことがありました。

確かに近ごろ、ツバメの巣をめっきり見なくなりました。子育て期間以外、ツバメは川原などに集団ねぐらを作って暮らしています。市街地にも飛んできます。けれども、巣で雛に餌を与える姿を知らなければ、ツバメに気づくことは少ないと思います。空中で虫を捕るので地面にはあまり下りてきません。電線にとまって鳴いていても、子どもには見分けがつきにくいでしょう。娘がツバメに馴染みがないのもうなづけます。

 

善了寺のある神奈川県ではツバメは2006年から数が減っている鳥(減少種)として登録されています。
数が減っている理由は様々です。ツバメが巣作りしやすい建て物が減っている。ツバメの餌となる虫が減っている。巣の周りが糞等で汚れてしまうため巣立った後に撤去されてしまう(*)。
また、過疎化が進んだ村落ではツバメの巣は見かけられなくなるそうです。ツバメが軒先に巣を作るのは、カラスなどの外敵から雛を守るためだと言われています。人が住まなくなったり人の往来が減ったりすると、カラスが近づきやすくなります。すると、ツバメも遠のいてしまうのだそうです。

 

 

知識ではなく、生きたツバメに出逢ってほしい

南方から渡ってくるツバメが日本で過ごすのは、4月から10月上旬くらいまでです。1回目の子育てを終えた親鳥は、夏くらいまで2回目、3回目の子育てをする場合もあります。これから秋にかけては南の国への渡りの準備です。田んぼなど虫の多い場所でエサ取りをして体力をつけます。日本にいるのは後1か月ちょっとですね。

 

今年の夏の間にまた出会えるかしら。娘にはぜひ生きたツバメを見てほしいです。「わぁ!」「すごい!」「かわいい!」と、何かしら心が動く経験をしてほしいと切に願います。

今はインターネットですぐに動画が出てきます。調べればツバメを知ることはできます。でも、もしまだツバメがいるならば、実際の姿を見てほしいのです。その上で、図鑑や動画の詳しい解説が役に立つとよいなと思います。

 

*ツバメは野鳥のため、卵や雛がいる間に勝手に巣を壊すと鳥獣保護管理法に違反する可能性があります。

 

参考文献
「田んぼの生き物たち ツバメ」神山和夫、佐藤信敏、渡辺仁 2012 農文協
「自然たんけん ツバメ」七尾純 1988 国土社
「ツバメの謎 ツバメの繁殖行動は進化する!?」北村亘 2015 誠文堂新光社

 

寄稿者 ほりえりえこ
湘南在住。小学生の娘と暮らしてます。今を大切に。日々のなぜ、なに、どうしてを大切に。心が動いたこと、子どもに伝えたいことを書いています。