住職は、実は高校時代剣道部でした。(全然強くはなかったのですが……)。それでも身体にしみこんでいるいるのは、足さばきと体捌き。名称は別々でもつながっている大事な要素なんです。

今、コロナ禍で、暮らしが大きな変化を余儀なくされています。こんな時だからこそ、何があっても、柔軟に対応できる力が必要だと思います。そんなことを思いながら、ふと思い出したのが、剣道のこの稽古でした。攻撃も防御も、相手との関係の中で柔軟に対応できるのは、基礎から積み上げた足さばきと体捌き、どんな状況にも前後左右、重心を変えずに動ける基礎の動作です。軸をつくることだと思います。後ろに重心がかかれば踏み込むことができず、前に重心がかかりすぎれば、受けることができない。文章にすると難しいですね……。

大きな変化に対応する暮らしの軸は、どこにあるのでしょうか?つい不安だと、未来につんのめっていませんか?また、陰謀論に振り回されて後ろ向きになりすぎていませんか?

変わることのない暮らしの軸は、今を生きること。今を柔軟に生きるための基礎になる稽古こそ、一日一日の暮らしを粗末にしないことにあると思います。あたりまえのと思ってきた暮らしを大切にすること。それが、どんな変化にも対応できる大事な稽古です。

私は今大きな変化を受け入れていく時代だからこそ、毎日のお参りをおすすめします。朝でも夕方でも、出勤前でも、帰宅後でも、テレワークの始まりや終わりに、ほんのひととき、仏さまにお参りする暮らしが、私たちのコロナ禍の暮らしの軸を育ててくださると思います。

戸塚・善了寺住職