「恩返し」の言葉

先日、台風19号で被災された神奈川県内の現場に、災害ボランティアで入らせていただきました。現地の社会福祉協議会が運営主体の現場でした。1日だけでしたが、多くの方々とご一緒に、大きな農家さんのお庭に流入した土砂撤去作業をさせていただきました。

作業の後、農家のご主人の「本当に有難う、助かりました。」という身に沁みる言葉を頂きました。

この言葉は、私たちが行なった作業に対する「恩返しの言葉」と見ることもできますが、私はそうは思いませんでした。

作業への「恩返し」だと、私とご主人の2人の関係の中で、恩返された時に関係が終わってしまいます。

そうは考えられなかったのです。

「恩送り」の言葉

私にとって、この一言は、「恩返し」として、ご主人とのあいだで完結してしまうような言葉ではありませんでした。この言葉は、私にとって、「自分の街が被災したらどう活動するのか」と、今回の災害を自分ごととして考えるキッカケを恵んでいただいた一言でした。

「ご恩」とは、そもそも先人方からの贈りものでした。「恩返し」ではなく「恩送り」。それは、返さなくてもいいということではなく、返す返さないの関係を超えて、人を育み、大切な命を伝え、未来をつむいでいく営みなのだとおもいます。

私たちは、誰もが、「ご恩」を頂く仲間なんだな、と思い出させてくれた言葉でした。